企業でのLGBT教育ありがたい半面・・・
ゲイバーで、一般企業に勤める友人から
「今日LGBT講習みたいなのがあってさ~」と話が合った。
どれくらいの規模・人数の前で行われたかまでは聞かなかったが
「同性愛者がうんちゃらかんちゃらで~、こういう言葉は差別につながって、アウティングはどうこう~・・・みたいな話目の前でされても、どんな顔して聞いてればいいのか分かんなかったよ(笑)」
と笑い交じりに語っていた。
確かに、聞いてている側の居心地については同様に思う節はあるし
語る側も、当然聞いている側に当事者がいることを想定すべきだろうけども
多くの企業がダイバーシティの名のもとに、「LGBT講習」や教育に取り組んでいるのはとても良いことだと思う。
ありがたいことに、自分も色々な場でそういった話をさせていただいたり、声をかけていただく機会が増え
(コロナ禍なので多くが延期・中止になってしまいましたが)
いずれ自分もその一翼を担えればと思っている。(一翼とは大きく出たネ)
ただ、企業側も手探りの中で、誰もが講師を名乗っていけばよいわけではなく、
怪しいマナー講師同様、謎の講師やどこから湧き出たかわからないLGBT論が流布しないかという危惧もある。
※正直、自分自身も「お前誰だ?」感は否めず、実績も少ないので、
「この人を呼んで果たして大丈夫か?」という心配・不安を解決するため
『10分で分かるLGBT+』というお試しパッケージを展開中である。
もしイイカゲン講師が来た日にゃ、自分の周りにいる強めの友人なんかだったら
我慢できずに「アンタ、適当なこと喋ってんじゃないよ!代わりにアタシがしゃべってやる!」と壇上に乗りだしかねないなぁなんて思いながら
聞いている当事者が違和感を感じるだけならまだしも
経営陣が「トンデモLGBT論」を信じたり採用しだしたらという不安もある。
もちろん、何が正しくてどれが間違っているなんてことは一概には言えないし
時代共に変わっていくことすらある分野だから(LGBTに限らず)ある程度は仕方ないと思うのだけれど
⇒この危惧についてはまた後半で触れることにする
「カミングアウト禁止」という選択肢!?
先日、某雑誌のオンライン記事で
「企業の方針として職場のカミングアウトを認めない、という方針も考えられる」
とあったのには驚いた。
大本は企業や行政向けの雑誌で、人事やダイバーシティ担当者向けのものであったからなおさら驚いた。
最初はSNSで回って来たもので、誰かが課題解釈や意図的な誤読をしたのでは?
都すら思ったのだが、実際読んでみると
会社の方針として考えられるものとして
・職場でカミングアウトすることは問題ない
・職場でカミングアウトすることは問題ないが、あくまでも自己責任
・職場でカミングアウトすることは原則的に認めない
を挙げたうえで
企業内で検討の結果
『職場で、カミングアウトをすることは原則的に認めない」のであれば、求人応募者に「会社の方針として(性的指向の)カミングアウトは禁じています。弊社での就労を希望されるなら、カミングアウトはしないでください」と明確に告げるべきだ。』
と書いていたのだ。
目的は職場での混乱を避けるためと、企業や人事は方針を明確にすべきという意図だったのだろうが、このご時世に「そういう選択肢もある」とお墨付きをもらったと勘違いさせてしまいかね待機児である。
※現在では『企業の人事部が最大配慮すべきは「当事者に不利益を生じさせないこと」という意図』であったが誤解を招く表現であったと加筆修正されている。
ポストLGBT『SOGI』という考え方
この「カミングアウト禁止」などという発想がどこから出てくるかと言えば
元は「LGBTに対する配慮」だったのかもしれない。
先述の修正された記事にも「当事者自身に不利益を生じさせないことを最優先に考え、現時点での社内の理解度の低さ・温度差を率直に伝えておくのも方法のひとつ」と書かれている。
職場で加害者も被害者も生みたくないのは本音であろう。
ただ、LGBT+の当事者の多くの主張は「特別扱いしてくれ」ではない。
同性婚や、パートナーとの同棲による賃貸、相続の問題まで
「当たり前」を求めているのだ。
それが認められていなかったり、環境や自治体によっても左右されるが
本来では紙切れ一つ、判子一つで済む内容のものが
いくつものハードルを越えなければいけなかったりする。
実は「LGBTという考えがもう古い」のではないか?
メディアでも多く取り上げられ、多く尾運動や活動が盛んになっている今、決して水を差すわけではない。
ただ「LGBT」が付く以上、それに付属する行為や主張は、どうしてもその人たちを特別扱いしてくれ、その人たちの為に対応してくれ、考えてくれ
というように聞こえる。
これでは今まで関係なく(もしくはないつもりで)生きてきた人達にはめんどくさいことこの上ないように思えてしまうのも仕方のないことにも思える。
しかしこれは女性の社会進出時と近い現象な気がする。
いままでオジサンだけの社会で上手くやってきたのに、女性陣が入ってきて
女性陣からも・国からも、ルールや環境の整備を急かされた当時のオジサマ方は
「なんで俺たちが女性の為に…」と思ったことだろう。
それからどれくらいの時が立ち、職場での男女の差がどれだけ埋まってきたかはそれぞれ意見があるだろうから、今は省くが、今まさに同じ現象が起きているのである。
ここで大事なのが、当時の主張が「女だからこう扱ってください」という主張でなかったのと同様(セクハラ問題や産休育休の話はまた別の機会にするとして))
「LGBTだからこうしてください」という主張が主でないところである。
しかし先に述べたようにLGBTについて話すとどうしてもそれを特別扱いしてくださいと、聞こえる耳のフィルターを持っている人が少なくないのです。
ここで、一回LGBTという考え方を忘れ
「SOGI」という目線で考えてみてはどうだろうか?
SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の英語の頭文字のことです。
「LGBT」は性的指向を同性・両性に限定し、性自認は出生時の性と異なる(限りなく端的に言ってます)人を限定していますが、
SOGIはその「限定」を取り除き、文字通り「性的指向」「性自認」そのものを指します。
つまりは全員です、この記事を書いている私も、読んでいるあなたも、全員です。
男性が好きな女性も、女性が好きな男性も、
男性と生まれて男性として育ち、自分のことを男性として認識している人も
女性と生まれて女性として育ち、自分のことを女性として認識している人も含みます
「なんだそんなのあたりまえじゃないか」と思う人もいるでしょうそう当たり前なのです。
その当たり前の中で考えてみましょうという話です。
先に挙げた「カミングアウト禁止」を例に挙げてみましょう。
「LGBT当事者のカミングアウト禁止」と言うから、「ああそいう考え方もあるのかな」と理解してしまう人も出てきてしまうわけで。
「SOGIのカミングアウト禁止」としてみてはどうでしょう?
※そもそも全員を指すわけだからあえてつける必要はないのかもしれませんね。
上司が世間話で「うちの奥さんがさ~」と言えば、女性と結婚していて異性愛者とばれるので「カミングアウト禁止」のルールに反するわけです。
女性社員も「彼氏が欲しい」と声高に言うこともできません。
もっと言えば、自分の性自認も周りに知られて岩いけませんから、性別指定のトイレも更衣室も使えませんね・・・
と極端な話ですがこういこうことです。
しかし、「カミングアウト禁止」といわれたLGBT当事者にだって極端な話だったわけです。
「LGBT」ではなくはなから「SOGI」という考え方を持っていれば、誰かにとっての極端な発想をしなくて済むかもしれません。
とここまで、すんなり読んでしまったあなた!
要注意です!!
世間話で「うちの奥さんがさ~」と話している上司。
男性だと思っていませんか?(笑)
別に女性の上司に女性のパートナーがいて「奥さん」と呼んでいてもおかしくないんです。
今のは少し強引な例でしたかね(笑)
でも、それが「SOGI」のある世界です。
(かなり端折ってざっくりとですが・・・)
もちろんカミングアウトしたくない人もいるしその自由は尊重されるべきです。
でもそれも「LGBT」に限らず、「SOGI」の目線で考えてみれば、異性愛の人だって、既婚者だって、家庭の話や恋愛観を職場で持ち出されたくない社員はこれまでだっていました。(気づいていたかどうかは別として)
何もそっとしておいてほしいのも、プライベートのことやセックスライフについて話したくないのはLGBT+ばかりではありません。
もちろん、フランクに話す人もいます。
ちなみに、自分は聞かれたらなんでも話しちゃう・答えちゃう系ゲイです。
でもこれが、非カミングアウトのLGBT+の人の居心地を悪くしている可能性も否めません。
(一方で、ゲイフレンドリーな場である証明や、自分の話に対する周りのリアクションを見て「この人になら話しても大丈夫かな?」という指標にもなりうる可能性も否めません。)
こればっかしは、後にならないとなかなか気づけないものも多く、今更ながら反省の日々・・・
出逢う人、聞く話によって、この思いも常に更新されていくので、
「なるほどそう捉える人もいるのか」
とか
同じ話でも「こういう言い方をしておけばよかった」
「より正確に伝わったのにな」と思うことはほぼしょっちゅうです。
だから自分は常に、自分もまだ勉強中であることと
新しい情報にどん欲になることを意識。
自分もSOGIの件だって、語るにはまだまだ理解が不十分な点も多いのです。(SOGIに限った話ではありませんが)
「常に勉強と想像力を!」
これば自分のモットーです!!
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